阮女は阮共の娘で阮侃の妹、許允 の妻です。
許允とは曹丕の子・曹叡が皇帝となった時代を生きた人です。
のちのち司馬師に誅殺されることになります。
※世説新語の注釈・『晋諸公賛』では司馬昭に殺されたことになっています。

正史では夏侯尚伝に付随する夏侯玄伝の注釈に記載されています。
ですが世説新語の記述が詳しいので、そちらを参考にする予定です。
裴注にない記述はきちんと明示します。
かなり文章量があるので、項目を分けて紹介しようかと考えています。
簡単に紹介しますと、阮女は非常に醜い女性でした。
しかし才知や弁舌は非常に優れており、許允を説き伏せたエピソードは取り沙汰されることが多いです。
余談ですが筆者の高校時代に、漢文の練習問題にも取り扱われていました。
他にも、処罰を受けそうになった夫と息子たちに対処法を教え、その通りにすると災いを避けられた話があります。
先見の明もある女性でした。
筆者が見たところ、現状の日本では辛憲英と王元姫が「未来を予知する賢女」として持て囃されているようです。
しかし、阮女は彼女らの更に上を行く賢い女性だと思います。
根拠は中国での認識です。晋書に記載されている女性の話はうさんくさいから、というのもありますが。
中国では阮女を中国四大醜女の一人として扱っています。
この四大醜女とは、ただ醜いだけではなく、群を抜いた賢さを持つ女性を指します。
いわば、見た目の欠点を十二分にカバーするような機智に富む女性です。
醜い才女、といえば諸葛亮の妻が有名ですが、あいにく彼女はランクインしていません。実績がないので仕方ないことです。
知名度で言えば阮女よりずっと有名でしょうけれど、さすがに根拠となる資料がなければキツイものがあるのでしょう。
中国を代表する賢い女性の一人です。
他に四大才女というのもありますが、同世代の辛憲英、王元姫は候補に挙がりません。
蔡文姫は四大才女の方に入っています。三国志の才女の双璧は阮女と蔡文姫でしょう。

日本での知名度はほぼ皆無ですが、黄氏を高確率で美女に扱う国では醜女が好まれないのでしょうか。
蔡文姫は日本でも有名ですが、あまり優遇されない事が度々見かけますし、才女など二の次といった風潮があります。
孔子が嘆きそうな世の中です。


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